2024年6月27日、EU-OSHA(欧州労働安全衛生機関)は、AI(人工知能)と最新のロボットシステムを用いたタスクの自動化がEUの中で進行していることを報告した。EUでは過去10年間にわたってAIとロボットシステムの統合が急速に進んでおり、2022年のOSH Pulse調査によれば、EUの労働者の5%がAIを組み込んだ機械やロボットを使用し、3%が対話するロボットを使用しているという。
この自動化の目的は、労働者を危険な状況から遠ざけ、より刺激的で創造的な仕事に従事させ、職業安全衛生(OSH)を向上させることである。具体的には、反復的で汚れやすい、または危険な作業をAIベースのロボットシステムが代替し、労働者の身体的負担を軽減することを目指す。ただ一方で、失業の恐れやスキルの再教育の必要性といったリスクも伴う。
自動化されるタスクは、物理的なものと認知的なものに分けられる。物理的なタスクの例としては、製造業や医療、運輸、建設業でのロボットの使用が挙げられる。具体的には、医療現場での介助作業や、製造業での清掃、包装、塗装作業などがある。
認知的なタスクの例としては、社会福祉や教育、また専門的、科学的、技術的活動の中でのロボットの使用が挙げられる。具体的には医療分野での診断支援システム、金融分野での翻訳サービス、行政・支援サービス分野でのソーシャルロボットなどがある。
職場でのタスクの自動化におけるOSHの確保には、労働者が自動化システムと安全かつ効果的に相互作用できるようにするための人間中心の設計、適切なトレーニング、継続的なスキルアップが重要である。また、OSHに関する基準を実施・執行するには、EU機械規則(2023/1230)やEU AI法などの法的枠組みが基盤となり、労働監査、社会的パートナー、意思決定者の協調的な取り組みを促進させることが重要である。また、OSHに関する基準を実施・執行するには、EU機械規則(2023/1230)やEU AI法などの法的枠組みが基盤となり、労働監査、社会的パートナー、意思決定者の協調的な取り組みを促進させることが重要である。