2024年7月16日、イギリス政府は国防に関する包括的な見直し、いわゆる「戦略的防衛レビュー」を開始した。このレビューは、スターマー首相によって委託されヒーリー国防大臣が監督、元国防相のロバートソン上院議員が主導する形で実施される。レビューの目的は、イギリス国内の安全を確保し、国外への体制を強固にすることである。国際的な脅威、特に、ウクライナ侵攻や中東の紛争など、国際的な脅威が増加やサイバー攻撃、情報操作キャンペーンの現状を踏まえて対処するためである。
この戦略的防衛レビューは、2025年前半に報告が予定されており、即座に開始される。元国防大臣でNATO事務総長を務めたロバートソン上院議員がレビューを主導し、外交政策の専門家であるフィオナ・ヒル博士や、元統合軍司令官のリチャード・バロンズ将軍が参加する広範な防衛コミュニティからの意見を収集する形で進められる。
ヒーリー国防大臣は、「英国の新時代の幕開けにあたり、防衛にも新時代が必要だ」と述べ、軍備の空洞化、調達の無駄、士気の低下を解消し、より迅速で効率的な防衛体制を構築する必要性を強調した。
また、スターマー首相は、「我が政府は、国防に対する新しい明確なアプローチを構築し、英国民の安全と安心を維持しながら、国際的な脅威に正面から取り組む態勢を整える」と述べ、国防費の増加と軍の能力強化を約束した。
このレビューは、以下を目指すものである。
- 国防全体の人材を将来の国防活動の中心に据える。英国がNATOを主導し続けることを確保する。
- 英国の国土安全保障を強化する。
- ウクライナ侵攻に対する支援を強化する。
- 核抑止力の近代化及び維持を行う。
- 軍事サービスや装備プログラムを要件に適合させる。
- One Defenceの指針を維持する。
このように、イギリス政府は新しい時代に対応するための包括的な防衛見直しを開始し、国内外の専門家の意見を取り入れながら、迅速かつ効果的な防衛体制の構築を目指している。