2024年8月16日、英国宇宙司令部は初の軍事衛星「Tyche」をカリフォルニア州ヴァンデンバーグ宇宙軍基地から打ち上げた。この衛星は、Surrey Satellites Technology Limited（SSTL）が設計・製造し、スペースXの再利用可能なFalcon 9ロケットを使用して打ち上げられた。Tycheは、監視、偵察（ISR）能力を強化することを目的としており、英国の情報収集、軍事作戦の支援に加え、自然災害のモニタリング、地図情報の開発、環境モニタリング、世界中の気候変動の影響追跡など、他の政府タスクにも貢献する予定である。
ウクライナ紛争が示すように、宇宙空間の利用は軍事作戦において重要である。Tycheは、英国国防省のISRプログラムとして打ち上げられる最初の衛星であり、2031年までに衛星群とそれを支える支援地上システムを提供する予定である。Tycheは、洗濯機に匹敵する大きさであり、昼間の地球表面の画像や動画を撮影する能力を持ち、低軌道で5年間運用される。
SSTLは、打ち上げの数時間後に最初の信号を受信し、打ち上げの成功を確認した。英国のマリア・イーグル国防調達・産業担当大臣は、「Tycheは、軍事作戦に必要な情報を提供するだけでなく、政府全体の広範なタスクを支援する」と述べた。また、英国宇宙司令官のポール・テッドマン少将は、「Tycheの打ち上げ成功は、英国宇宙司令部とその防衛および産業のパートナーが、軌道上での衛星能力の提供を迅速に実現できることを示した」と評価した。
DE&S宇宙チームリーダーのポール・ラッセル氏は、「新しい世代の英国軍事能力の最初の一歩として、Tycheが軌道に投入されるのを見ることは、非常に誇らしい瞬間である」と述べた。