2023年7月15日から19日にかけて、DoD研究技術担当次官室(OUSD(R&E))は 複雑化する海洋環境において、海軍の作戦を強化し、状況認識を向上させ、防衛能力を強化するために設計された次世代自律システムのデモンストレーションを行うイベントを開催した。このイベントは、AUKUS Advanced Capabilities(Pillar II)の一環としてR&Eのプロトタイプ・実験オフィスが主催し、アメリカ、イギリス、オーストラリアの将来の協力に向けた新技術が紹介された。
イベントの目的の1つは、海軍の無人海上自律化アーキテクチャー(UMAA)標準インターフェースを使用する政府所有のソフトウェア群である自律ベースライン(Autonomy Baseline:ABL)をテストすることであった。複数の船舶への適応性と統合の容易さは、将来の装備品のプラグ・アンド・プレイ動作の統合能力を証明した。
また、イベントでは、自律システム、従来の海軍資産、司令部の間のシームレスな通信を可能にするソリューションもテストされた。特に、マルチドメイン無人安全統合通信(Multi-domain Uncrewed Secure Integrated Communications :MUSIC)というソフトウェア・デファインドのメッシュネットワーク(Software Defined Network:SDN)が使用され、異なる通信リンクを同時に利用してプラットフォームとセンサーノード間での安全な情報共有を実現させた。このような通信ソリューションは、AUKUSパートナーの運用効率、意思決定速度、全体的なミッション効果を向上させることを目指している。
さらに、共通制御システム(Common Control System:CCS)のテストも行われた。CCSは、無人システムのミッションを計画・実行するための米海軍の政府所有オペレーターソフトウェアである。イベント期間中、USVデータはMUSIC戦術通信ネットワークを通じてプラットフォームからCCSに送信された。データは開発された相互運用性・相互交換性(Interoperability to Interchangeability:I2I)C2ネットワークを介して、CCSからリアルタイムでAUKUSパートナーに共有された。自律システムを既存の指揮統制機構とシームレスに統合することで、3カ国の海軍間の連携と相乗効果を高める道を開くことを目指している。
国防総省は厳選したプラットフォームと技術をオーストラリアに輸送し、AUKUS Maritime Big Playイニシアチブの下で後続実験を実施する。イノベーションと協力の精神を醸成することで、参加者は、共同研究、開発、評価、実験が海上領域における戦闘能力を向上させることが可能な分野を見極めている。