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インテリジェンス

AUKUS Pillar II(第2の柱)のマイルストーンが示唆する将来の自律型人工知能(AI)統合オペレーション

2024年08月28日

2024年3月、米国陸軍が主催する多国間プロジェクト・コンバージェンス演習において、自律型人工知能(AI)対応のセンシングシステムの導入に成功した。この試験は、AUKUSの先進能力の取組目標(Pillar II)の一環として行われたResilient and Autonomous Artificial Intelligence Technology (RAAIT)試験の一部である。試験では、陸、海、空、サイバーといった複合領域の戦場において、敵の目標を感知し、対応方法を決定し、脅威に対処するまでの時間を最短に抑える最先端の自律型AI対応のセンシング能力がテストされた。

 

この試験は、2023年4月に英国で実施された最初のAUKUS RAAIT試験以来大きく進展し、AUKUS Pillar IIの戦場での戦闘員の殺傷性を高めるという取り組みの具体的な成果を示している。これらの新しいセンシングシステムが成熟し、各国のプラットフォームに統合されれば、指揮官が最適な意思決定を行い、軍人が迅速に行動するためのより信頼性の高いデータを提供することが期待されている。また、複数の軍や国家が参加するシームレスな統合軍事作戦も可能になる。

 

RAAIT試験で展開されたシステムの一例として、Tactical Assault Kit(TAK)という地図ベースのソフトウェアアプリケーションのプラグインがある。これは、英国のRedKite無人航空機(UAV)が収集したデータに基づいてその場で調整し、別のUAVが詳細な画像を提供して確認することで、敵の位置を検出するのに役立った。この情報は戦術作戦センター(TOC)に送られ、「AIオフィサー」が人の目で確認を行った後、オーストラリアのXT-8 UAVが模擬攻撃を実行した。TAKはすでに実用化されており、米国空軍研究所(AFRL)はこのプラグインを広く普及させる予定である。

 

RAAIT試験で得られた教訓は、今後の訓練イベントに活用される予定であり、AUKUS人工知能および自律性(AIA)ワーキンググループは、これらの結果を活用して、3つのパートナー国がデータを共有し、競争環境での作戦成功を目指すAIAエコシステムを開発することを目指している。DoD研究技術担当次官室(OUSD(R&E))のTrusted Artificial Intelligence and Autonomyの主任ディレクターであるキンバリー・サブロン博士は、「データを収集し、AIシステムを訓練し、テストと評価を行い、エッジで10時間以内に予期せぬ脅威に対応できるようになったことは、我々のパートナーシップにとって大きなマイルストーンである」と述べている。

 

米国のRAAIT試験への参加は、OUSD(R&E)が主導した。OUSD(R&E)は米軍の技術的優位性を維持するための研究、科学、技術、工学、イノベーションを推進している。

出典:U.S. Department of Defense, 2024, "AUKUS Pillar II Milestones Hint at Future Integrated Autonomous, Artificial Intelligence Operations"(元記事公開日:2024/8/9、米国)

出典URL:https://www.defense.gov/News/Releases/Release/Article/3867890/aukus-pillar-ii-milestones-hint-at-future-integrated-autonomous-artificial-inte/