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インテリジェンス

米国ブラウン大将と南方軍司令官がAIの活用と将来の課題に対応する宇宙領域の開発を呼びかけ

2024年09月04日

2024年8月28日、チリのサンティアゴで開催された南米防衛会議2024 (Southdec 2024)の開会式において、米国統合参謀本部議長のブラウン空軍大将と米国南方軍司令官のリチャードソン陸軍大将が、同盟国およびパートナー国の軍隊が人工知能(AI)を活用し、宇宙領域をさらに発展させる必要性を強調した。

 

ブラウン大将は、AIの将来について述べ、AIを単に見込みがあるだけに過ぎないアイデアから、同盟国やパートナー国の国家安全保障上のニーズに対応できるまでの具体的な能力に変えるための7つの課題を挙げた。7つの課題とは、インフラストラクチャー、アーキテクチャ、データ、フォーカス、リソース、人材、そして文化である。ブラウン大将は、これらの課題は我々全員が直面するものであり、協力することで知識、経験、解決策を共有し、同盟国やパートナー国のネットワークの中で、新技術の潜在能力を最大限に引き出すことができると述べた。

 

リチャードソン大将は、拡張ドメイン認識(Enhanced Domain Awareness:EDA)と共通宇宙状況図(Common Space Operating Picture)の採用について言及した。EDAは、南方軍(Southcom)が取り組んでいるイニシアティブで、政府全体の作戦の同期を改善するために、責任あるAIと機械学習の条件を設定することも含む。共通宇宙状況図はEDAを利用して、宇宙運用環境についてより深い洞察を得るための取り組みである。彼女は、「同盟国およびパートナー国として、我々は宇宙領域の認識を共有し、脅威に対処するための即応性、レジリエンス、ケイパビリティを向上させる努力を続ける」と述べた。

 

ブラウン大将は、「新領域が出現したとき、権力はその新領域を使いこなす者に傾く可能性がある」と指摘し、宇宙の進展が経済的な発展をもたらす一方で、グローバルな力のダイナミクスを変える可能性があると述べた。ブラウン大将は、すべての国の権利を尊重する行動規範を発展させるために協力し、誰もが利益を得られる宇宙ネットワークを構築する必要があると強調した。

 

最後に、ブラウン大将とリチャードソン大将は、同盟国およびパートナー国があらゆる境界や領域を超えて団結し、西半球の明るい未来を確保するために団結できることに自信を示した。リチャードソン大将は、これは「『民主主義チーム(Team Democracy)』の仕事」であり、経済的回復力、民主主義の安定、市民の安全保障を強化しようとする人々と協力していると述べ、ブラウン大将は「我々の強さは、団結、民主主義への共有のコミットメント、そしてすべての人にとってより良い未来のために協力する能力にある」と締めくくった。

 

この会議は、過去15年間にわたり米国南方軍が主催しており、今年は南米10カ国、北米、ヨーロッパ、インターアメリカ防衛委員会(the Inter-American Defense Board)の代表者、および南米、中米、カリブ海で活動するパートナープログラムが参加している。

出典:U.S. Department of Defense, 2024, "Brown, Southcom Commander Call for Harnessing AI, Developing Space Domain to Meet Future Challenges"(元記事公開日:2024/8/28、米国)

出典URL:https://www.defense.gov/News/News-Stories/Article/Article/3888420/brown-southcom-commander-call-for-harnessing-ai-developing-space-domain-to-meet/