欧州連合(EU)では、技術的リーダーシップ、競争力、レジリエンスを確保するための政策プログラムである「デジタルの10年」の実施と評価を進めており、2024年版のレポートが発表された。このプログラムには、デジタルツインの取り組みを含む多岐のDX化ターゲットが設定されており、EUは、加盟国だけでなく様々なレベルのステークホルダーと協力し、資金提供や戦略的ロードマップを通じてデジタル化の実現に取り組んでいる。
報告書では、2023年の報告書をベースに、デジタル政策の進展を評価し、各「デジタルの10年」のターゲットに対する進捗状況を示している。特に、2024年の報告書では、各加盟国の戦略的ロードマップについての評価が含まれており、加盟国の個別の貢献が全体の目標達成にどのように寄与しているかが示されている。
過去数年間、EUは規制および非規制の措置を通じて政策の取り組みを大幅に強化してきた。過去5年間でデジタル政策の枠組みを強化し、23の立法ファイルを提案・交渉してきた。これにより、EUはデジタルガバナンスと政策革新の分野で世界をリードする立場に立っている。特に、AI法やデータガバナンス法などの新しいEU全域の規則が、競争力と人間中心のデジタル空間の発展に貢献している。しかしながら、加盟国の現状の介入状況では、2030年の目標達成を大幅に超えることが予想され、加盟国はさらに貢献を強化する必要があると報告している。
EUはデジタル産業基盤を強化し、「デジタルの10年」の目標達成を加速させるために、ネットワークの接続性、エッジコンピューティング、高性能コンピューティング(HPC)、量子技術、半導体、スタートアップなどの分野で大規模な投資を行っている。
さらに、一国だけでは取り組めないような大規模プロジェクトを開発するための具体的な協力が急速に進んでおり、2024年5月末までに、欧州デジタルインフラコンソーシアム(EDIC)が設立され、ヨーロッパ全体の既存のローカルデジタルツインを接続するための取り組み(CitiVERSE:https://eur-lex.europa.eu/eli/dec_impl/2024/459/oj)など8つのイニシアチブが準備中である。