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インテリジェンス

バイデン大統領が「ウクライナ・コンパクト」を発表

2024年07月25日

2024年7月11日、バイデン大統領と32のNATO加盟国およびパートナー国は、ワシントンで行われているNATO(North Atlantic Treaty Organization:北大西洋条約機構)首脳会議において、ウクライナの長期的な安全保障を支援するための枠組みとなる「ウクライナ・コンパクト」を発表した。

このコンパクトは、2023年にリトアニアのヴィリニュスで行われたNATO首脳会議でバイデン大統領と各国がウクライナとの長期的な安全保障協定を交渉する約束を実現するものであり、将来的にはNATO加盟への橋渡しの一環として、ウクライナに対する侵略を抑止するためのものである。現在および将来の統一的かつ包括的な安全保障体制を構築することで、ウクライナが自由、主権、民主主義、独立、繁栄を確保し、自らを防衛し将来の侵略を抑止する能力を持つことを目指している。

 

「ウクライナ・コンパクト」の発出式典には、米国、ベルギー、カナダ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、アイスランド、イタリア、日本、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スペイン、スウェーデン及び英国の首脳と、欧州理事会議長、欧州委員会委員長及びウクライナ大統領が参加した。

 

「ウクライナ・コンパクト」の具体的な内容としては、以下の3つの主要な取り組みが含まれている。

 

(1)二国間で、並びにウクライナ防衛コンタクトグループ(UDCG)及びその能力コアリション、対ウクライナ安全保障支援及び訓練組織(NSATU)、及びウクライナの支援におけるEUの軍事支援ミッション(EUMANウクライナ)を含む既存の多国間メカニズムを通じて取り組みつつ、安全保障上の支援及び訓練、近代的な軍事装備並びに防衛産業及び必要な経済的支援の継続した提供を通じたものを含め、ウクライナの喫緊の防衛及び安全保障上のニーズを支援する。

(2)2030年代に向けた部隊の強化の継続を視野に、EUMANウクライナとの連携の下、2027年までの将来の軍の発展に関する各能力コアリション-それぞれのコンパクト参加国-の指導者によって準備されるロードマップを検討し承認するための、UDCGを通じた、6か月以内の防衛大臣級での会合の開催を含め、信頼性の高い防衛及び抑止能力を維持するウクライナの将来の軍を構築するための取組を加速する。

(3)現在の戦闘行為の終了後におけるウクライナに対する将来のロシアによる武力攻撃の際に、迅速かつ持続的な安全保障上の支援の提供並びにロシアへの経済的及びその他のコストを課すことを含め、国連憲章第51条にうたう自衛権を行使するウクライナを支援することにおける適切な次の措置を決定するために、最も上級のレベルで迅速かつ集合的に会合を開催する。※1

 

同コンパクト参加国は、ウクライナがEU、NATO及びより広い欧州大西洋コミュニティにおける将来のメンバーシップへの道を追求する中で、これらのコミットメントを前進させることを計画する。自由で、民主的で、独立し主権を有するウクライナを確保するためのこの取組に貢献したいと願うその他の国は、ウクライナとの間の二国間の安全保障上の合意又は取決めの作成後、このコンパクトに参加することができる。

 

 

 

※1 外務省,2024,「岸田総理大臣の「ウクライナ・コンパクト」発出式典への出席」,外務省ホームページ,(2024年7月19日取得, https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100696832.pdf).より当該箇所を引用

出典:The White House, 2024, "President Joe Biden Launches the Ukraine Compact"(元記事公開日:2024/7/11、米国)

出典URL:https://www.whitehouse.gov/briefing-room/presidential-actions/2024/07/11/president-joe-biden-launches-the-ukraine-compact/